関満博氏の講演(KNS例会 & INS in 大阪_061125)

  • 中国・広州

・今、中国・広州に注目している。
・広州は、町中の空港が手狭になって、中心部より25㎞北の花都区に、’04.8、新たに空港を開設し、東京からも3便/日あるが、すべて満席の状態。
・現在、2本の滑走路があるが、ジャンボ機でも3,600mあれば良いところを、4,800mのものとなっている。これは、次世代エアバスの乗り入れ、もしくはスペースシャトルの離着陸を睨んでのものである。(※ 関空は3,500mで、2本目の滑走路(2007年供用開始予定)も4,000m)
・将来的には、滑走路5本とする計画で、現在、3本目を建設中(08,6開設)。その3本目はFedExの専用線となる。現在、FedExのアジアの拠点空港はフィリピンにあるが、それを移転する。
・広州周辺には、広州のほか、香港、マカオ深センと、4つの国際空港がある。
・港湾についても、1位、2位は、香港とシンガポールで争っているが、3位に深センで、広州もベスト10に入ってきた、という状況にある。
・広州の良いところは、北東アジア及びアセアン全域を見られる位置にあることである。

広州市内には、ホンダ、日産、トヨタ、現代の工場が立地し、すでに自動車生産の最大エリアとなっている。(日産の工場は、空港まで12㎞、市街地まで6㎞の位置にある。)近々、日野自動車が進出予定。また、日産の横には、ルノー用の用地が既に確保されている。
・‘04.3に初めて気付いたが、そのときは、タクシーの運転手も日産の工場がどこにあるか知らなかった。
・それが、’05.1の「花都汽車域」のオープニングに行ったときには、区画整理が行われ、日産の一次下請けと二次下請けが進出していた。なお、国外では系列は関係ないので、下請け会社は入り乱れている。先日、行ったときには、ホテルや、47室もある和食レストランができていた。「花都汽車域」は50k㎡の広さがある。(山手線の内側が大体60 k㎡)
・さらに、日産の北側に華南理工大・広州汽車学院という大学ができていた。車関係のITやエネルギーのほか、経営・ビジネスも教える。学生数15,000人規模で、広さは120haか137ha(日本の大学は10ha前後)。授業料は6,000〜8,000元(10万円くらい)/年(中国の人は、卒業後の給料は15,000元/年になるので三年でモトが取れると考える。)
・大学を作ったのは黄さん(52歳)という方。コンデンサーの会社から独立して、15年くらいで今の地位を築いた立志伝中の人。この人が学校を寄付している。(中国では成功者は、何らかの形で社会に還元しないとヤバいということもある。)大学としては、「独立大学」という分類になる。
・当初は、MBAを作って寄付する予定だったが、’03.12に、仲の良い広州の副区長(80万都市の№3、謝さん37歳)との酒席で、自動車向けの大学にすることとし、’06.9には開校にこぎつけている。(日本だったら、文科省の認可さえ得られていないだろう。)
・カリキュラム等の大学運営のノウハウについては、謝さんから華南理工大にアプローチし、お願いしている。教員については、中国では教員は普通60歳で引退させられるので、まだまだピンピンしているのに引退させられている人が3,000人は居るので、そこからと、海外からの招聘でまかなっている。
・当然、自動車会社との共同研究のスペースは確保されている。いずれは自動車会社に出資してもらう予定である。
・学生は全員一年間のインターンに行かされるほか、卒論は自動車会社に派遣されて、そこで書くことになる。