テルモが医療行為のシミュレーション施設を開設

自社製品の普及と研究開発の新拠点に
2007年3月6日 火曜日 上木 貴博
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070302/120201/

 医療機器メーカーのテルモが、4月から医療行為のシミュレーション施設「テルモ
メディカルプラネックスイースト」を開設する。建設コストは19億円。最新の医
療機器と訓練設備を揃えており、医師や看護師、薬剤師、臨床工学技師、学生らが
レーニング目的に利用する。

本物にそっくりな擬似病院の設備を持つ「ホスピタルスタジオ」
 メディカルプラネックスイーストは、本物そっくりの病室や手術室の空間であ
る「ホスピタルスタジオ」と、内視鏡下で行う血管採取術やカテーテル脳血管手術
のトレーニングを積めるシミュレーター設備がある「シミュレーターゾーン」、在
宅医療機器の研究開発のための模擬住宅の空間である「アートオブメディカルエン
ジニアリング」に分かれている。
 同社は、同じ敷地内にメディカルプラネックス・ウエストを2002年に建ててい
る。ウエストには今年1月までに延べ1万人の医療従事者が訪れている。日本にはシ
ミュレーション機器を備えた大規模施設がないことから、今後はより多くのトレー
ニングに使われる見込みだ。
 テルモは、メディカルプラネックスを使い、医療技術が高度化・複雑化する中で
実践的なトレーニングを行える場所を医療従事者に提供していく。日本には医師免
許の更新制度がない。「継続的な学習の場になれば」(和地孝会長)という意図も
ある。

手術の際の医師や看護師の動き方を研究して製品の開発に生かす
 同社では社員の製品や医療に対する知識向上も同施設の目的として挙げてい
る。「メディカルプラネックスイーストで学べば、MR(医療情報担当者)がドク
ターと同じ知識を持てるようになる。ドクターにアドバイスができることこそMRの
“資格”」と和地会長は話す。
 医師をはじめとする医療従事者に自社製品を使ってもらい、医療事故を減らすと
ともに自社製品の商品開発やサービス向上につなげていく予定だ。和地会長は「開
発者が医師から直接現場の声を聞く場になる。議論を交わしながらスピードのある
研究開発につながっていく」と期待を寄せている。