「金属ガラス」の事業化が始まった

 〜産学連携で基盤技術を確立〜
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20070409/122324/?P=1
圧力計測機器大手の長野計器は、「金属ガラス」と呼ばれる新材料を採用した、高感度で小型の圧力センサーを実用化したと2007年4月10日に発表した。
 長野計器が金属ガラス製圧力センサーを実用化できたのは、東北大学などとの産学連携のたまものである。金属ガラスは、東北大学の井上明久総長が1980年代末に発見した新材料である(当時の肩書きは金属材料研究所の助教授)。
 JSTは、97年から約6年間にわたり、大型の研究プロジェクトである「ERATO(創造科学技術推進事業)」として「井上過冷金属」プロジェクトを実施。
 同プロジェクトの基盤研究成果を受けて、NEDOは「ナノメタル技術」プロジェクトを2001年度から2006年度まで実施し、金属ガラスの実用化の基盤研究を進めた。
 NEDOはほぼ同時に、「金属ガラスの成形加工技術」プロジェクトも進めた。今回の長野計器の新型圧力センサーは、この「金属ガラスの成形加工技術」プロジェクトの成果である。同プロジェクトには、東北大、独立行政法人産業技術総合研究所大阪大学群馬大学などの大学・公的研究機関と、YKK、並木精密宝石、東京計装、真壁技研(仙台市)、NECトーキン富士重工業神戸製鋼所などの多彩な企業が共同研究に参加した。
 金属ガラスを利用した製品を開発しているのは、長野計器だけではない。例えば並木精密宝石は、金属ガラス製の超小型歯車を駆動部に組み込んだモーターを実用化した。このほかにも、東京計装と真壁技研が金属ガラスを利用したコリオリ流量計測装置を、NECトーキンは磁気センサーなどの実用化を図っている。
 大学・公的研究機関による金属ガラスの基盤技術を拡充する研究も進んでいる。例えば、弘前大学理工学部の古屋泰文教授の研究グループは、金属ガラス部品の量産法として急冷遠心鋳造法を確立したと公表した。