東北大学,「あるべき姿」実現のためのアクションプランを発表

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070406/130267/
 東北大学は,「世界リーディング・ユニバーシティ」を目指すための戦略実行プラン「井上プラン2007」を発表した。具体的には,10年後に論文総数などの総合評価で世界のトップ30に入るように,大学内を改革していく。
 「東北大学としてあるべき姿を十分に考えた上で,課題を明らかにした。今の東北大学に足りない部分を補うための実行プランといえる」(総長の井上明久氏)。井上氏が総長に就任したのは2006年11月。東北大学は,ことしで創立100周年。さらにこの先100年,継続的に発展していくための,「礎を築きたい」(井上氏)。このため,就任後すぐに総長室を設け,総長室を中心にしてプランをまとめ,2007年4月から実行していくという。
 井上氏の任期は5年の予定だが,その間に取り組むプランについて,「教育」,「研究」,「社会貢献」,「キャンパス環境」,「組織・経営」の五つの柱ごとにまとめた。例えば,「教育」においては,国際的に貢献できる学生を育てるために,学部学生を対象とした「海外インターンシップ制度」を設ける。東北大学では,全世界に118校の学術交流協定校を持っており,それらの協定校に6カ月以上留学できるような制度とする。また,留学先の大学で取得した授業の単位は,東北大学での単位として認定することで,長期の留学が卒業年に影響を与えないように配慮する。
 また,学部と博士課程前期の6年一貫教育制度,さらには博士課程後期を加えた9年一貫教育制度を設ける。これによって,カリキュラムが柔軟に組み合わせることが可能となるという。「現在,おおよそ6,7割の学生が博士課程前期に進んでいるため,この制度を設ければ,多くの学生が6年一貫教育を選択するのではないか」(井上氏)。
 「研究」においては,研究基盤を強化するために,若手の博士研究員(ポスドク)が独創的研究に従事するための「国際高等融合領域研究所」を設置した。同大学では,すでに異分野融合を目指した大学院教育を行う「国際高等研究教育院」を設けているが,両者を合わせて新たな学問分野の創造に取り組んでいく。
 「組織・経営」においては,これまで63歳が定年だった制度を改める「東北大学式人事システム」を設ける。具体的には,学生に影響のある教授に対しては,キャリアパスとしてその上に「フェロー教授」「ユニバーシティ・プロフェッサー」という肩書きを設けて,年齢に関係なく学生を指導してもらう。「年齢の上限を設けるかどうかは,夏ごろまでに検討したい」(井上氏)。
 このほか,「社会貢献」においては東北大学との共同研究を企業が行いやすくなるようなフェロー会員制の導入,また「キャンパス環境」においては,新たなキャンパスの整備,などをプランとして予定している。その多くを,2008年4月から進めていきたいという。