原点回帰の旅(塩沢文朗)

もっと真正面から産学連携によって大学の「教育」、「研究」の質の向上を図る試みについて取り上げ、議論してはいけないという理由はないはずです。イノベーションの創造・促進が切望されている中、イノベーションを生み出し、担っていく人材を育成する拠点としての大学に国民の期待が高まっているのですから。米国では、産業界と大学との間で、教育カリキュラムの内容や教え方が時代に即したものとするための産学間の協力が定着していると聞いています。あいにくと講演会の資料が手元にないので、関係機関の固有名詞を言及できないのですが、東京大学大学院の武市正人先生の「わが国の情報分野の人材養成について」と題する科学技術政策研究所で行われた講演会(2005年4月)では、米国の大学では、コンピュータ・サイエンス学科の教育内容を技術の進展や産業界のニーズにマッチさせるために、大学の教員と産業界の技術者が比較的頻繁に集まり、こんなに基本的な講義テーマまで改変してもよいのかと関係者もとまどうほど、かなりダイナミックにコア・カリキュラムの見直しを行っていることが紹介されました。
http://dndi.jp/17-shiozawa/shiozawa_7.php