仙台地域は新しい産学連携モデルを提供できるか? −国際的な産学連携が萌芽−

西山 英作(にしやま・えいさく)東経連事業化センター 副センター長/本誌編集委員
◆先進モデルは米国・テキサス州オースティン
テキサス州オースティンでは、1980年代から地域の産学官がビジョンを共有しながら産業クラスターを形成していくテクノポリス・ウィール・モデルを展開し、州政府と大学の街から米国屈指のハイテク都市に生まれ変わった。本件については、第3期科学技術基本計画の検討過程において先進事例として、わが国の政策担当者が深く考察を行っている。
ジョージ・コズメスキーとともにテクノポリス・ウィール・モデルを執筆したデビッド・ギブソンは、「テクノポリス・ウィール・モデルは2000年以前のモデル。オースティンでは新しいモデルが模索されている。例えば、これまでのインキュベーターでは、オースティンで生まれたベンチャー企業をオースティンで育てていたが、これからは海外の大学との連携強化に加え、イスラエル、ブラジル等の起業家をオースティンに誘致し、国際的なネットワークを強化したい」(2005年10月、筆者インタビュー)と述べている。
このように新しい産学連携モデルは、世界最適調達といった製造技術ネットワークにとどまらず、海外の大学との連携、海外の起業家の誘致等、イノベーションのシーズ段階からの国際的なネットワークに力点を置きつつある。
産学官ジャーナル 2007年8月号<抜粋>