欧州委員会による知識移転活動に関する勧告

Commission urges Member States and public research organisations to better convert knowledge into socio-economic benefits
欧州連合(EU): 欧州委員会研究総局Research DG
2008年 4月10日
 欧州委員会は4月10日、大学と他の公的研究機関の知識移転活動における知的財産の管理に関する勧告を採択した。
 本勧告は、公的研究機関に対し、知的財産のより効果的な管理及び活用のための運用原則を提供する。本勧告は全ての加盟国に対し向けられたものであり、知的財産及び知識移転活動の管理のための政策やガイドラインを確立或いは適合することを支援し、公的助成による研究成果の利用を促進することを意図する。
欧州の大学及び公的研究機関は、ハイレベルな知識を社会経済的利益に還元するよりも、それを創造することに長けていると言われており、科学論文のアウトプットでは米と比較しても遜色はないが、発明件数、特許登録件数、ライセンス契約数、スピン・オフ企業数の比較では、かなり少ない実績しか上げていない。
調査の結果では、欧州の機関は、彼らの北米のカウンターパートと比較して、発明公開では25%、特許出願では53%、特許許諾では36%の遅れを取っていることが判明した。
 加盟国では、近年、公的研究機関と民間部門の知識移転を促進させるため、立法上の変更及びガイドラインや契約モデルの作成などの多くの取り組みを実施してきたが、これらの方策はしばしば純粋に国家的見地から立案されたため、国家間のシステムの相違を考慮しておらず、超国家の知識移転を妨げる結果となった。
 欧州委員会は、知的財産管理及び知識移転に対する公的研究機関の積極的関与は、彼らの教育及び研究ミッションに矛盾するものではなく、むしろ学生や科学者を魅了し、更なる研究助成を獲得するための重要な要素になると指摘する。
 欧州の大学及び公的研究機関の知的財産管理を改善するため、欧州委員会の勧告は鍵となる原則的な政策を提供しており、加盟国は、知識移転に関する国のガイドラインやその他の方策を導入する際はこれに従うことが要請されている。
 欧州で共通の原則を持つことにより、法律や実務など現存する国家間の知識移転システムの相違を克服するとともに、加盟国内及び加盟国間の知識移転を促進し、真の欧州研究圏の発展に寄与することを図る。
 本勧告はまた、大学及び公的研究機関向けの「行動規範」を含んでおり、彼らが組織のポリシーを立案または再検討する際に考慮すべき多くの運用上の原則を提供する。