メモ/アフリカ連合と欧州連合の科学協力の強化

JSTデイリーウォッチャーより

File No. 757-004
アフリカ連合欧州連合の科学協力の強化
EU Commissioner Potochunik in Africa to boost the Science Partnership
between the African Union and the European Union
2009年 9月 4日
 欧州委員会のヤネス・ポトチュニク科学研究担当委員は、先ごろ初めてアフリカ
連合(AU)とケニアを公式訪問した。同委員は、9月7日から9日にかけて高官レベル
の政治会談を行い、EUが支援するナイロビ(ケニア)及びアジスアベバ(エチオピ
ア)の研究センターを訪問した。この訪問は、2007年12月にAU欧州連合EU)と
の間で締結された科学技術パートナーシップ(Science & Technology
Partnership)の枠組みに基づいて実施されたもの。この2大陸間のユニークなパー
トナーシップは、科学技術分野におけるアフリカの研究能力を強化し、アフリカが
独自の科学知識を生み出し、これを利用して、開発上の課題に対処し、科学の国際
舞台に立てるようにすることを目的とするものである。
 ポトチュニク委員は次のように述べた。
 「アフリカにとって科学は決して贅沢なものではなく、アフリカが直面している
数々の問題に対して持続可能な解決策を見出すために不可欠なものである。科学技
術パートナーシップにより、EU-AU間の協力関係は新しい基盤の上に立脚することに
なった。すなわち、EUがアフリカのために努力するのではなく、アフリカとともに
努力する、いわば真の意味での平等なパートナーシップである。アフリカが優先す
べき研究はアフリカ側が決定し、現地の有能な人材を育成・保持し、海外の科学者
を誘致できるような強力な研究能力の確立にあたっては、力を合わせていきたいと
考えている。このパートナーシップには、AU加盟53カ国とEU加盟27カ国が関与して
いる。このパートナーシップが成果を上げるには、これら80カ国の取り組みをさら
に調整する必要がある。」
 欧州委員会(EC)とアフリカ連合委員会(AUC)は、2007年12月にリスボンで開催
されたEUAUサミットにおいて、「EU・アフリカ戦略パートナーシップ」を採択し
た。ここでは8つのテーマに沿ったパートナーシップが存在するが、その8番目
が、「科学、情報社会及び宇宙に関するパートナーシップ」である。この第8番目の
パートナーシップの枠組みに関しては、すでに優先すべき19の「ライトハウス(灯
台)」プロジェクト分野がアフリカ連合によって採択されている。
 EUとアフリカの科学的な関係は25年以上前にさかのぼり、それ以降、着実に発展
している。第6次フレームワーク計画(FP6:2002-2006)においては、39のアフリカ
諸国からの873件の提案に対し、約9,300万ユーロの投資がなされた。第7次フレーム
ワーク計画(FP7:2007-2013)においては、既に37のアフリカ諸国からの368件の提
案が採択され、5,300万ユーロ(原文ママ)の投資がなされる見込み。
[文責: パリ事務所]