第9回知財学会

 午前中は、30分遅れで、産学連携・ベンチャー分科会に顔を出す。
 イテレクチュアルベンチャーズの加藤幹之さんの「訴訟は最後の手段であって、金が取れるという発想とは違う」という発言を聞いて、けれども、一方で腕利きの弁護士が金を獲ってくるのも事実だと思う。そこから、正当な評価がされていないものを、訴訟によって正当に評価してもらうのだ、という考え方も成り立ちうると思った。それは、その後の話に出てきた、韓国でパテントトロールが大学の売却した特許を活用した事件が、韓国の企業も大学の特許を見直すきっかけになり、政府系ファンドに大手が投資するようになった、という事実からも、正しいかも知れないと考えた。
 一般発表では、やはり妹尾先生が光った。もともと話し方がうまいということもあるだろう。最後に、「学者は定石しか教えないという批判があるが、定石を知らないと、定石で攻めてくる相手に対しても負けてしまう。定石を知っていれば対処もできる。そして、僕は学生に対して、定石を学べ、そして定石を越えろ、と言っている。」と述べたことは、遠藤勝裕さんの「マニュアルを知らないと、現実に目の前で起こっていることに対して、マニュアルどおりに対処すべきなのか、自分で臨機応変に判断すべきことなのか、わからない」と言っていたことと共通する。
 それにしても、妹尾先生の話からは、東大阪のものづくり系の中小企業に何を言ってあげれば良いのか。いや、中小企業も戦略を考えるべきだよね。日本の大企業の先行きが不安になってしまう状況の中でこそ、どう動くべきか、私には見当が付かないけれど、戦略的に考えなくてはならないはずなのだから。