メモ/シリコンバレーについて

「米国における地域イノベーションの真髄」(谷川徹、2012.3)より抜粋

「第八章 移民が主役のシリコンバレー
「・・・クラスター形成(産業集積)の主要因は、支援の仕組みやシステムではなく、起業家精神に満ちた優れた個人と、異質であろうと実力のあるものを公平に受け入れる文化・社会風土や市場である・・・」
「・・・ベンチャー等の振興によるハイテククラスターの形成のためには、“人材”と彼らが活躍できる自由でオープン、実力主義等の“文化・社会風土”、そして公平な“市場”が最も重要な要因だ・・・」
「・・・様々な人種が持つ異なった文化、慣習、考え方等の混在により、全く新しい革新的発想(イノベーション)の誕生や、夫々が得意とする分野の融合や補完による新製品、新アイデアの誕生が可能になった・・・」

「・・・米国で見たものは・・・地域、地方が自らの手で、現存する様々な資源、条件を最大に生かし、大学、企業、自治体、NPO、個人といった様々な地域の主体が、対等な立場でともに汗を流し地域を創るといったものであった。・・・決して中央政府に頼らず、自ら考えまた自らの出来る範囲で最善を尽くすというものであった。・・・」
「・・・成功裡に事を進めているところは、現在その地域が有しているプラス要因を最大限に生かしているという共通点がある。そして多くの場合、その地域の主役たる個人(住民、起業家など)の意欲とチャレンジ精神が優れ、また彼らの様々な発想や能力を存分に生かす自由でオープンかつフェアな文化・社会風土、市場が存在していた。更に言えば地域を引っ張る献身的かつ優れたリーダーの存在も目立った。・・・」
「・・・どのような支援策、インフラを整えようとも、社会の雰囲気が変わりまたプレーヤーたる個人が変わらなければ、その努力の効果は薄い。・・・」
「・・・全て自立した強い個人の存在と原則市場原理というルールがもたらしたものである。日本の長い歴史と伝統、文化・社会風土は簡単に変えられない。“個人よりも組織”という慣れ親しんだ文化は根深く日本人の心の中に定着している。しかしながら今、少しでも過去のやり方、考えの『変化』というものを受け入れなければ、永遠に『活力ある地方』は生まれず我が国の将来は明るくない。日本人の多くが個人として自立する覚悟を持ち、組織や政府に頼らず自らの知恵と努力で切り開く覚悟が芽生えれば、活力ある豊かな地域実現の展望は開けるであろう。・・・」


・もはや外国人を受け入れて行かなければ日本の発展は望めない、という指摘を、どうしても思いだしてしまう。
・しかし、シリコンバレーは理想郷か?陰の部分はあるだろう。けれど、東京湾を埋め立てなければならなかった、日本とは国土の条件から違う。