メモ/伊東乾

カレスタス・ジュマ教授は強調します。

 「技術革新のプロセス、またそこから生まれるもの作りを進める際には、国際社会に蔓延する社会の本質的なクレームを考慮に入れておく必要があります。少なくとも2つのポイントがあります」

 「第1のポイントは、新技術システムのデザインの中に、社会を巻き込んでいく仕かけを持っているということです。もしイノベーションやビジネスモデルが社会・経済を巻き込んでニーズに応えるように作られていない場合、民衆からは反発運動がいつまでも続くことになるでしょう。(ポイント1「社会のインボルブメント」)」

 「また、第2のポイントが、科学・技術・工学の社会的役割をめぐる議論では、持続可能性全般への考慮、またとりわけ環境に対する配慮が今後、支配的な役割を担うと思われることです。(ポイント2「環境の持続可能性」)」
こうした国際イノベーショントレンドを、卓越した技術力を背景に、ルールを作って牽引する日本のグローバルリーダーシップが、とりわけ新興諸国から切望されている、こうした課題に国としても民間セクターとしても応えていくことが、日本に大いに期待されている。

 こうした観点、つまり諸外国が「3.11以降の日本」に期待する、かけ値なしのプラスのリクエストや期待、リーダーシップへの希求といったものを、もっと正面から受け止め、年齢性別を問わず日本から外にどんどん出てもいき、また必要なものは日本に招き入れ、空気の流れをよくすること。イノベーションに基づく互恵的な発展の、具体的なシナリオを推進すること。

 どこか一隅にしゃがみこんで、本など破いたりするようなつまらない島国根性と無縁な、開かれた可能性への確かな道案内役を務めること。

 いま大学に問われる知の役割には、こうした基本的要請があると私たちは考えています。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40085
2014.03.04(火)