伊東乾より

「大学ってそういう所ではない、と私は思う。むしろ「出来るものはつぶさないように伸ばしながら、出来なかったものをきちんと伸ばして、バランスの取れた大人になる」ために、大学は機能すべきだと思っています。とくに一般教養はそうです。
 専門に進んで、そこで「高度な専門教育」を受けると「人材が育つ」か? なんて言われたら、正直言いますけれど、ぜんぜんそんなこと思いませんね。大体、本当にやる気があって、どんどん伸びる奴なら、カリキュラムなどに入っていようがいまいが、自分で好きなことならどんどん勉強して伸びてゆきます。そのとき、突出した能力だけでバランスを欠くことなく、むしろ興味が薄いもの、あるいは苦手なものなども、なんとかきちんと身に付けるべきです。

「大学なんて、何も保障しないところです。そんなところに、さきざきの人生「のため」なんて自分の気持ちを偽って進学しなくても、ゲームクリエーターでも金融でも不動産でも、あるいはスポーツでも、私たちのような音楽も含め、もっと別のビジネスはさまざま存在しているし、変に分野を狭く考えず、本当に自分に向いた世界、自分のやりたいことであって、かつ出来ることに、果敢に挑戦してゆく、そういう社会、そういう日本であるべきではないか? 」
2013年4月4日(木)日経ビジネスオンライン