国立科学財団におけるイノベーション誘発プライズ

(Innovation Inducement Prizes at the National Science Foundation)
http://homepage1.nifty.com/bicycletour/sci-rep.acad.NRC-innovation%20prizes.htm
 2005年11月に成立した国立科学財団等の歳出予算法である「2006年科学・国務・法務・商務および関連機関歳出法」には、「(国立科学財団における研究および関連活動の)予算にはイノベーション誘発プライズに配分されることができる(that funds under his heading may be available for innovation inducement prizes)」という条文が含まれているが、この条文に基づき実施されるプログラムについて、米国研究評議会(National Research Council)は、「国立科学財団イノベーションプライズ企画委員会(Committee on the Design of an NSF Innovation Prize)」を設置し、その検討を行った。本報告書はその検討結果を示すものである。
 この「誘因プライズ」と同種の事業については、国防先端研究プロジェクト庁(DARPA)や航空宇宙局(NASA)がそれぞれのミッションの延長上において実施されている他、議会においてエネルギー省により行われるプログラムの創設が審議されている。これらのプログラムはいずれもリスクが高く、同時に見返り(リターン)が高いものとして設計されているが、本報告書は国立科学財団の、研究者主導によるボトムアップ的提案に基づく基礎研究支援というミッションにおいてこのような性格を持つ新たなプログラムの実施の適切性という問題についても検討を加えている。結論として報告書は、国立科学財団がこのようなプログラムを実施することは、米国のイノベーションの基盤の強化に有効であるとした上で、特にその当初の実験的段階においてはアカデミックコミュニティー、科学技術分野の学会、産業機関、ベンチャー資本家等の助言を得るべきであるとしている。