メモ/政府による研究開発投資の役割

政府による研究開発投資の役割
by「『中長期的な研究開発政策のあり方』中間取りまとめ案」産構審・研究開発小
委員会_090610

「単純に市場に任せようとすると、各主体は、リスクを取ることや自ら固定費たる
(研究開発)投資費用を支払うことよりも、フリーライドを選択することが合理的行
動となる部分が多くなる。つまり、市場原理のみでは、研究開発投資は供給されな
い、または望ましい水準に比べて過小投資に陥ることになる。こうした投資ゼロま
たは過小投資となっている部分を国が補完することが、これまでの政府による研究
開発投資の第一義的な役割であり、公共財の提供に準ずる立場から正当化されてき
ている。」
(24頁、( )は筆者が補足)

「規模の経済が働き一定規模以上の研究開発投資でないと成果が出ないような分野
においては、多数が競い分散投資をしていては、ブレークスルーは実現できな
い。このように、市場競争に委ねたままでは各プレーヤーが部分最適を追求し続け
イノベーションを阻害しているような場合に対しては、ナショナル・プロジェクト
の組成を通じた重複・分散・過小投資を回避する取り組みが重要となる。
また、競争劣位にある企業を支援することは、市場の効率性を損なうことについて
は論を待たないが、たとえ市場シェアが僅少であったとしても、その企業のアイデ
ア・シーズが支配的な企業の既存技術を代替する革新性がある場合には、その外部
性の政策効果は正当に評価されると考えられる。いわゆる『Maverick』の競争促進
効果であり、ベンチャー支援の政策的論拠である。」
(25頁「(i) 市場の失敗の回避」)