メモ/大学の知財群を提案するセミナーを開催

関東経済産業局,大学の知財群を提案するセミナーを1月21日に開催
日経BP知財Awareness
[2010/01/25]
http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/biz_univ_tlo/20100125.html

 経済産業省関東経済産業局は,2010年1月21日に都内で「大学知財群活用セミ
ナー」を開催し,千葉大学信州大学などがそれぞれ保有する特許群を組み合わせ
た“血糖値計測装置”など合計三テーマの知財群を企業の実務者などに紹介した。同
セミナーの冒頭で,事務局を務めた三菱化学テクノリサーチ(東京都千代田
区)は,各大学が保有する特許の中から特定のテーマごとに知財群をつくり知財
値を高めることで,企業などに技術移転(ライセンシング)しやすくしたり,製品
応用のための共同研究態勢をつくりやすくなるなどの知財群の効用を説明した。
 今回のセミナーでは,“血糖値計測装置”“蛍光トモグラフィ装置”“光コヒーレンス
モグラフィ(OCT)装置”の三テーマの知財群を紹介した。今回の知財群に特許を
提供した大学は,東京理科大学筑波大学信州大学千葉大学,電気通信大
学,静岡大学日本大学の7大学である。
 血糖値計測装置のテーマは,千葉大理事・副学長の北村彰英教授の「赤外分光法
血液中グルコース濃度測定技術」と信州大繊維学部創造光学系の石澤広明准教授の
「赤外分光法を用いた血糖値測定法」の研究成果と特許を中心に組み合わせ,光源
分野に静岡大の公開特許2件,計測分野に千葉大の公開特許などの2件と電通大
どの公開特許2件を,データ処理・解析分野に日大の公開特許1件と静岡大の海外
特許1件とで,知財群を構成した。このほかにノウハウが加えられている。高波長分
解能レーザー光源の開発と多変数解析手法の改良が実用化のカギという。
 蛍光トモグラフィ装置のテーマは,生体内の蛍光物質の濃度分布を断層像として
表示して診断や検査に用いることを目指している。乳ガンや骨疾患などの診断に実
用化したいという。このためには,蛍光機能を持たせた薬剤やタンパク質の微粒子
を生体組織に注入したりする導入技術の開発と,生体表面で観測される蛍光強度の
時間変化などを定量化し画像化する技術の開発が必要になる。中核となる研究成果
と特許は,東京理科大基礎工学部材料工学科の曽我公平准教授の「近赤外励起バイ
オイメージング技術」と電気通信大電気通信学部知能機械工学科の山田幸生教授の
「蛍光トモグラフィにおける画像化技術」である。
 蛍光トモグラフィ装置の光源分野では筑波大の公開特許1件,千葉大の公開特許
4件と未公開特許2件,東京理科医大の未公開特許2件とで,蛍光微粒子分野では
電通大などの公開特許2件と未公開特許1件,筑波大の公開特許1件,東京理科大
の公開特許2件と未公開特許1件とで,内視鏡分野では静岡大の公開特許3件,千
葉大の未公開特許1件とで,計測分野では筑波大の公開特許3件とで,データ処理
と画像化技術の分野では千葉大の公開特許2件,未公開特許1件,静岡大の公開特
許1件,筑波大の公開特許2件,東京理科大の公開特許1件と未公開特許1件とで
構成されている。この知財群を基に,高解像度断層像を提供する蛍光トモグラフィ
を実用化する計画だ。
 光コーヒレンストモグラフィ装置のテーマは筑波大大学院数理物質科学研究科の
伊藤雅英教授の光コーヒレンストモグラフィの応用技術と千葉大大学院融合科学研
究科の椎名達雄准教授の光コーヒレンストモグラフィの工業用途への応用技術の研
究成果と特許を中核に据えている。光源分野では筑波大などの公開特許2件,千葉
大の公開特許4件,東京理科大の未公開特許2件とで,計測分野では筑波大の公開
特許4件とで,信号処理分野では千葉大の公開特許2件と未公開特許1件と,筑波
大の公開特許7件,東京理科大の公開特許1件,未公開特許1件とで構成してい
る。「医療用途向けの高速・高精度光コーヒレンストモグラフィ装置や産業用途向
けに小型・低価格向けの光コーヒレンストモグラフィ装置を開発することを目指
す」という。
 経産省産業技術環境局の大学連携推進課の谷明人課長は「今回提案された大学の
知財群は,産業革新機構などの諸制度を利用して実際に開発体制を組んで実用化す
る態勢をどう組み上げるかが重要になる」と指摘し,発表後に開発体制が実現する
ことを期待していると語った。
日経BPプロデューサー 丸山正明)