メモ/自治の事例

 ニュージーランドの学校には、「学校理事会」(Board of Trustee)なるものが
あって、学校経営のガバナンスを行う。
 ガバナンスというからには、マネジャー(校長)に実務を一任しながらも、学校
が適切に経営されるよう監督し、最終的な責任を負っている。
 具体的な責務は、国家教育指針(national education guideline)に明記されて
いる。
 まず学校なのだから、学力の増進が重視される。
 ・生徒の学力向上のためにふさわしい環境を整え、適切なカリキュラムを用意
し、常に自己評価し、改善すること。
 より具体的には、asTTLeやICASやNCEAといったテスト(それぞれ性質は違う
が、いずれも自校生徒の学力の相対的位置づけを知りうる)など第三者による客観
的な評価を参考に、学校における学習のよいところ悪いところを同定し、設定した
目標に向かうために戦略を立て、常にモニタリングし、軌道修正していくこと。

 さらに、学校理事会は、学習の場である学校の様々な面で責任を持つ。 列挙す
ると──
・学校施設についての責任。施設に破損箇所があれば補修するし、古くなれば更新
する。そして、生徒が使うに際しての安全面に問題があれば、対処する。特にプー
ルの安全管理などは、日本と同じで一大関心事となる。もちろん、これらに実際に
対処するのは学校のマネジメント側だが、学校理事会はそれを常に適切であるよう
監督する。
・校長の任用と評価、そして、教職員の人事にも責任を持つ。毎年、教員は入れ替
わるから、新しい教員を選ぶのはひとつの大きな仕事だ。理事会メンバーは面接に
も出席する。
一方、校長は日本とは違い、10年以上の長期にわたって在任するのが普通だか
ら、いざ、校長が変わる時には、学校理事会は「今後の10年」を左右する、非常に
大きな責任を持って新校長選びにのぞむ。
・ 学校理事会は、校長・教職員の雇用者なので、通常の会社の雇用者と同様
に、「従業員」の労働環境に責任を持つ。
・ 学校の予算管理、財務に責任を持つ。
・ 国の教育省、学校共同体(スクールコミュニティ、つまり保護者共同体)への報
告義務を持つ。

「日本の1/4の時間で、普通の父母たちが学校を動かす」川端裕人のゆるゆるで回す
「明日の学校」体験記  日経ビジネスon line
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100223/212936/