産業学会全国研究会
それぞれの報告よりもパネルディスカッションの方が、興味を持てました。
特に、
◎宮田先生による「災害の備えに対する『市場の失敗』」というコメントと、それに対する川端先生の整理
◎長峰先生による「高台移転をすれば、3世代50年間はそこに住み続けていただかないと、自治体は破算する」という指摘と、同じく長峯先生の「計画(農業生産法人や集落営農への一元化)と現実の乖離」という指摘が印象的でした。
田舎出身の私としては、ついつい少子高齢化と過疎化が深刻な地方の問題に引きつけて考えてしまって、
解決の方向性としては、川端先生の言うような
◎価値連鎖の中で収益性の高いところは地域内へ
◎直接的に競合しない部分では、他地域とも連携して、
というのが正しい方向なのでしょうが、
同じく川端先生がおっしゃっていた、
◎中小企業レベルで頑張っている人に、地域リーダーになってほしい、
◎その他にも自営レベルで頑張っている人もいる
というところと矛盾するというか、切り捨てなければならない部分もあるのか、と思うと、気が重いところです。
同じく、長峯先生のご指摘の点も、
1)慎重な高台移転の計画が求められる一方、2)被災者の生活再建は早急に進めなければならないということでは、
それらを矛盾なく進めるのは大変難しいし、
いずれにせよ、集約化(市街地も農地も)と、外への展開(広域化)が解決の方向性となると、弱者の切り捨ては避けられないのかと・・・。
その中で、明石先生がおっしゃった、
ヨーロッパでは、工場がなくなったけれど、この地域に住みたいという人が自営し、そこから食品にしてもカフェにしても(高付加価値化を図って)展開し、拡がっていくことができた、という話に救いがあるなあ、と感じた次第です。