知財学会

今年の知財学会の会場は大阪工業大学でした。

妹尾先生は、
イノベーションモデルの変容+変容の連鎖に対応した知財マネジメントでないと意味がない。
・例えば、特許取得によって技術をフルオープンした技術は、すぐにキャッチアップされて、10年ももたない。
(ノルマ競争で知財を大量に生むと、新興国にキャッチアップされるという副作用がある。出願大国であるということは、技術で勝つということとイコールではなくて、むしろ、出願大国であるが故に産業で負ける、ということを意味するのではないか。)
・一方、すべて技術をクローズドする垂直統合だけでは、G7の時代はともかく、G20の時代は乗り切れない。
・すなわち、技術をオープンするところとクローズするところをデザインする必要がある。
という話が印象的でした。
もう一つは、
知財権化=参入障壁と標準化=参入促進ということで、知財権化と標準化を目指しているが、それは世界の勝ち組モデルとは異なっているし、それが自己目的化してしまっている今の状況はどうにかしなくてはいけない、ということです。
こちらについては、私には、もう少し解説が必要かな、という感じです。

渡辺先生は、
・中小企業やベンチャー企業で大学知財の成果を出している米国と違って、日本では、共同研究が盛んで、共願特許が沢山出て、それによってベンチャー企業に行くべき特許が圧迫されている、というような状況が推測される。それでイノベーション創出に寄与するといえるだろうか。(大学の使命を果たしていないのではないか)
というようなお話しでした。