特許DB化 広域で共有/沖縄TLOなど協定/運用開始 地域活性化狙う

2008年10月03日
 沖縄TLO(西原町、玉城理社長)など西日本の五つのTLOが、互いの持つ特許情報をデータベース(DB)で共有し、必要とする企業に紹介する業務連携協定を締結、10月から本格的な運用を始めた。特許を広域で利用することで、地域経済の活性化とTLOの機能向上を図るのが狙いで、TLO連携は今後東日本地域にも拡大する見込みだ。(前田高敬)
 連携するのは沖縄のほか岡山、四国、長崎、山口の各TLOで、参加する大学などは計48機関に上る。
 各TLOはこれら大学などが広域利用を希望する特許を共通DBに登録する。
 民間企業から共同研究や技術移転の相談を受けたTLOは、DBを検索して該当する特許を持つTLOに企業を紹介。
 紹介を受けたTLOと企業とで交渉が成立し、製品化・事業化されれば、TLOに特許使用料などの収入が入る仕組み。
 企業を紹介したTLOに対しては、収入を得たTLOが30%(上限1000万円)の“紹介料”を支払うインセンティブがついているのが特徴で、経済産業省によると、こうした契約による連携は全国初という。
 沖縄TLOによると、四国TLOは健康関連、長崎は亜熱帯医療などそれぞれに強みがあり、沖縄の企業がこれら特許を照会・利用できるようになることで、県が力を入れる健康食品産業やヘルス・ツーリズム分野で新たな起業につながる可能性も出てくる。
 また獣医学部がなく医薬品などの安全性試験が難しい県内でも、他地域との共同研究による製品化が期待できるという。
 沖縄TLOの担当者は「これまでは特許登録後にしか分からなかった県外の新技術も研究段階から把握できるようになり、より技術利用が進んで地域産業の発展につながるはず」と強調した。